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処遇改善等加算の支給はできていますか?② ~人事院勧告分の基本的な考え方~

コラム

2024年10月18日

処遇改善等加算の支給はできていますか?② ~人事院勧告分の基本的な考え方~

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「令和6年度の人事院勧告、国家公務員の月例給とボーナスの3年連続の引き上げを勧告、ベースアップは30年ぶりとなる高水準」という発表が出ています。処遇改善等加算の制度の中でも「人事院勧告分(いわゆる人勧分)」という言葉をよく耳にしますね。今回はこの人事院勧告により、どのような影響があるかを解説していきます。

人事院勧告分とは

人事院勧告分とは、正式には「公定価格における人件費の改定分」と言われ、基準年度から当年度までに実施された人事院による人事院勧告による国家公務員の給与改定による公定価格の単価改定による影響額のことを指します。

公定価格の算定にあたり、公定価格の人件費・事業費・管理費等は、それぞれ対象となる費用を積み上げて算定されており、そのうち人件費は、国家公務員の給与に準じて算定されています。

国家公務員の給与は人事院勧告をもとに改定されており、この改定の内容をふまえ公定価格の人件費の単価も改定されることとなります。単価改定による増減額は、人件費の改定部分となりますので、確実に職員の賃金に反映することが求められ、処遇改善等加算の制度においても、この人事院勧告により改定された内容を「公定価格における人件費の改定分」として、基準年度の起点賃金水準に反映し、職員の賃金改善に充てる必要があります。

これまでの公定価格における人件費の改定分の推移と賃金への反映

公定価格における人件費の改定分の増減額を算定するため、子ども家庭庁(以前は内閣府)が処遇改善等加算Ⅰの加算率に置き換えた改定率を発表しており、平成24年度以降の推移として令和6年度当初では14.2%となっています。

ポイント

人事勧告分とは公務員の給料が民間の会社と大きく違わないように調整するために、人事院という機関が政府にアドバイスするものです。公務員の給料を上げるべきか下げるべきかという提案を行います。

保育士等の処遇改善の推移

保育士等の処遇改善の推移
引用元:第5回 子ども・子育て支援等分科会|こども家庭庁、資料8:公定価格の処遇改善等加算Ⅰ~Ⅲの一本化について

令和5年度は5.2%増額改定となった人事院勧告分ですが(実際の支給時には、FAQにより示された遡及単価と当初と単価の年間総額の差額、または事務負担が大きい場合は「処遇改善等加算Ⅰの加算総額÷加算Ⅰの加算率×5.2%×90%(調整率)」で計算した額で支給することも可能)、皆さんはどのように賃金に反映されましたか?

令和5年度の増額改定分は、金額も大きかったり、3月に発出された「公定価格に関するFAQ」により支給すべき額がわかりづらくなったり、単価改定による自治体の精算が遅かったりで、年度内の支給ができず令和6年度で支給した、令和5年度中に一部を支給した、支給を見送り繰越としたなど、さまざまな対応があったかと思われます。ただ、人事院勧告分として賃金に反映すべき額はこの5.2%増額改定分ではないですね?

原則、令和2年度から基準年度が前年度となり、前年度と同様に処遇改善等加算(人事院勧告分を含む)を支給することを求められるようになりました。令和2年度は、人事院勧告分8.1%分と処遇改善等加算Ⅰの加算額を支給した令和元年度と比較して、同じように支給することが求められましたが、人事院勧告分が0.3%減額改定となった年度でもありますので、その分も賃金に反映させているはずです。

令和2年度以降、処遇改善等加算Ⅰの加算額と改善額との比較がなくなり、かつ人事院勧告分も支給できているかの確認もわかりづらくなってはおりますが、令和2年度以降の人事院勧告分としても、令和2年度の減額改定分▲0.3%、令和4年度の増額改定分1.2%分、令和5年度増額改定分5.2%が賃金に反映されている必要があります。

令和6年度の人事院勧告による公定価格への影響

冒頭で記述しましたが、令和6年度の人事院勧告が発表では、約30年ぶりとなる高水準のベースアップとなり、特に初任給を大幅に引き上げるとのことで、

・【総合職(大卒)】 230,000円(+14.6%[+29,300円])

・【一般職(大卒)】 220,000円(+12.1%[+23,800円]

との例が示されています。またボーナスについては、

・年4.5か月分から年4.6ヶ月分に引き上げ

とのことです。前年度も同じ初任給を引き上げており、大卒で約6%、ボーナスが0.1か月引き上げだったことを考えると、令和6年度は10%を超えており、大幅に上がっていることがわかります。

この結果が公定価格に反映されますと、前年度以上の「公定価格における人件費の増額改定」が行われることが予想されます。過去の人事院勧告分も反映させたうえで、令和6年度分が追加されることになりますので、さらに賃金に反映させるべき金額が大きくなります。処遇改善等加算Ⅰや人事院勧告分の支給の多くを期末の一時金で支給している事業所様は、一回で支給する金額が多くなりますので、例えば、冬の賞与で一部を支給したり、非常勤職員の時給のベースアップに活用するなど、計画的な支給をすることがあっても良いかもしれません。

支給すべき金額がいくらなのか、どのように支給したら良いのかなど、ご不明な点等ございましたら、ぜひ、弊社にご相談ください。

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